傘、スマートフォンをお持ちの手では持てない。
折り返した腕の間に傘をひっかけているおかげで、それはそれは自由に持ち主の体から離れて私をつっつきやがる
ようやく乾いた服だというのに雨水にまた濡れやがる
「その機械を触らないことで私を濡らさないのならすぐさまそれをおやめなさい。私のことを悲しませないで。ねぇ、お願い。」
と言えるはずもなくただただ怒りの気持ちで見つめるだけです。優しい言葉の豊富さを知らないというのは乏しいがや
階段を降りる時、そういう持ち方をしていたおかげで傘が前を歩く己に突き刺さっていたがためにお顔を拝見して候うと思おい振り返りますと
「大丈夫ですか?すみません」
と小さい声ながら一声かけてくれたおかげで一気に怒りが小さくなったがな
おろおろ、いつからこんな乏しい感情になってしまったんやろか
でも心の中ですみませんって言われるより、こっちのほうが数倍伝わるじゃないか
よしよし、許して候う
これはただの独り言です。
以上