先週、月曜日の夜だというのに酔っ払いの男性、二人に出くわしたのだった。
同じ車両でそれぞれ他人の酔っ払い。
一人は原田泰造を20代後半か30代前半にした雰囲気のサラリーマン
もう一人は清潔感のある50代後半ほどのおじさん
原田泰造は乗ってくるなり、座っている私の前に立ってしまった。
どうみてもこのまま座り続けていたらこの男のゲボをくらうことになりかねない
もしくは男のフラフラした頭が寝落ちして私の股間にダイブしかねない
瞬時に己の中の酔っ払いのイメージが回想し始める。
パンツが見えなかったのが救いであるが、残り20分以上ある時間で社会の窓を見ないようにする努力をできる自信がない。だからこの目の前にいる今にも寝てしまいそうな男に席を託したのだが。
そこで私はドアの付近に立ったわけであるが、ここで2番目の酔っ払いが立っていたことに気づけなかったのである。車内はさほど混雑していないためか、2番目に出くわした酔っ払いのおじさんはつり革を両手で掴み、足元のステップダンスを電車の揺れにそって激しく披露している。鳩が求愛する動作のように、よりによって同世代の品格のあるおじさんに向かって頭を前後に突き動かしステップを繰り返していたのだった。
これを笑いだとは思わずして何を笑うか
これは喜劇である。
いま私の前で喜劇が起きている。
そう思わずにはいられなかった
おじさんは何を思ったか、突然次の駅で降りて離脱していった。
ベンチに座り状況を確認しているその姿を見送りながら、私はしばらく寝ていた原田泰造似の酔っ払いに集中する
タイミングがいいことに、酔っ払いのおじさんが離脱した2つ先の駅につく手前で原田泰造が重い腰をあげて立ち上がったのである。(おお、この男は電車が止まったら降りるのかな)
降りなかった。
なぜなんだ泰造。
降りないのに、席を託してやったのに、なぜ立つことを決めたんだ。
案の定、寝てんのか起きてんのかわかんないような立ち方でずっと乗ってるため途中で顔を険しくさせたり(吐き気?)、よだれが垂れていたりしたのであった
何より一番おもしろかったのはこんな平和でおもろい酔っ払いが二人もいたのに、みんなスマートフォンを見て彼らを眼中にうつさないようにしていたことだがや
喜劇って、みようとしないと見れないもんです
以上